検査値の悪化をきっかけに、今の自分に合った治療を選択
Aさん(60代、男性、診断から7年)
本症例は真性多血症患者さんの1つの事例であり、すべての真性多血症患者さんが同様の経過をたどるわけではありません。疾患の進行状態によって、症状などは個々の患者さんで異なります。
診断されるまで
真性多血症と診断されるまでの経緯をお聞かせください。
大学病院に紹介されて1年後、血球数が上がったため遺伝子検査を行い、診断されました。
病気が見つかったきっかけは、50代半ばに、腰痛で受診した整形外科でした。MRIを撮ったところ腰椎に影があることがわかり「大学病院を受診するように」と勧められました。紹介されたのが整形外科ではなく血液内科だったので、不思議に思ったのを覚えています。その時は、その影が腫瘍ではないことがわかったので、様子を見ましょうということになりました。
「真性多血症」と診断されたのは、最初に大学病院を受診して1年後のことです。血液検査で血球の数値が高かったことから、背中から骨に針を刺して骨髄液を採る遺伝子検査を行うこととなり、病気がわかりました。診察室で真性多血症と告げられた時は、どんな病気なのかすぐには実感がわきませんでした。ところが、保険会社に真性多血症と診断されたことを連絡したところ、「それは、がんですね」と言われたのです。非常に驚きました。ここではじめて「自分はがんなんだ」とはっきりと自覚したわけです。
病気に関する情報収集について
病気や治療に関する情報は、どのように入手しましたか?
インターネットで検索しました。特に「患者会」やがん情報サイトがお勧めです。
がんだと知ると、色々なことが不安になります。大学病院の主治医に「余命はどのくらいですか?」と尋ねました。「10年は大丈夫でしょうか」とのお返事でしたが、腑に落ちず、自分でも調べていました。インターネットで多血症の方のブログが目に留まったので、私から質問のコメントを入れたところ親切にお答えいただき、「患者会」についても教えてくださいました。患者会は、ウェブサイトで病気や治療、新薬や治験に関する情報のほか、色々な患者さんの体験談も発信しています。私は参加したことはありませんが、専門医の話が聞ける勉強会も開催されているようです。私にとっては一番の情報源ですね。
その他に、がん情報サイトも活用しています。窓口に電話し、アポイントを取ったうえでスタッフの方と相談することができます。薬や治療に関する最新の情報も提供してくれるので役に立ちます。新しい治療法の開発は常に行われていますので、複数の情報源とつながっておくことが大切だと思います。
これまで受けた治療について
診断からこれまで、どのような治療をされてきましたか?
診断時から抗血栓薬を、診断3〜4年後から細胞減少療法をスタートしました。
診断されたのと同じタイミングで、ひざの手術のために入院することになり、大学病院の整形外科と血液内科にかかっていました。その時期に抗血栓薬を処方されたのが、真性多血症に関する最初の治療です。この薬は今も継続しています。しばらくしてから瀉血もスタートしました。もちろん、自分でできること、例えば、お酒は飲みませんし、食べ過ぎないようにしたり、タバコをやめたりといった努力は続けています。
そのあと、総合病院に転院しました。真性多血症と診断されてから3~4年経ったころ、だんだん血球の数値が高くなり、細胞減少療法をスタートしました。主治医から何種類かの薬の説明を受け、医療費や薬の使いやすさなどを考えたうえで、主治医の勧めに従って薬を選びました。
最近、薬を変更したのですが、このときは私の方から主治医に相談を持ちかけました。患者会を通じて勧められた薬が私に合っているのではないかと思い、「この薬に変更するのはどうでしょうか?」と主治医に希望を伝えたのです。
薬を変えたいと思った理由は何でしょう?
徐々に検査結果が悪くなり、「骨髄線維症や白血病に移行するのを防ぎたい」と考えたからです。
今から1年ほど前、血液検査の値が良くなくて、JAK2アレルバーデンの検査結果もかなり高値でした。真性多血症は骨髄線維症や白血病に移行する可能性があると聞いていたので、検査値が悪くなっていくのを見て、「今より深刻な病気に移行するのは怖いな」と思い、患者会に相談しました。相談に乗ってくださった方は、今の私の状態に合っているのではないかとお考えの薬について、理由や使える時期などを詳細に教えてくださいました。これが、たいへん参考になり、治療を変える決断をしました。
目に見える変化があると、治療に対する希望も湧いてきます。今の治療を続けながら、血液検査やJAK2アレルバーデンの定期検査で、数値が改善していくことを期待しています。
主治医とのコミュニケーションの図り方
主治医とはとても良い関係が築けているようですね。何かコツはありますか?
尋ねたいことや治療に関する希望は遠慮せずに伝え、日々の経過はきちんと報告するようにしています。
工夫していることは特別ありませんが、やはり人間同士ですから言い過ぎないように、言葉を選ぶようにはしています。私は根ほり葉ほり聞きたい性格なので、特にその点は気をつけていますね。現在の主治医とは、総合病院に転院したときからもう6〜7年の付き合いになります。診察室での会話は、私の方から主治医に伝えることが多いように思います。
薬の変更に関しても、思い切って私から話を切り出したところ、主治医も前向きに検討してくださり、資料もたくさんいただきました。薬を変更してからは、経過をチェックするノートもいただいたので、毎日、事細かに書いて、診察の際に見せています。あまりに詳しくて、主治医も少し驚いていたようです。
真性多血症の患者さんに伝えたいメッセージ

●血液疾患の治療は日々進歩しているので、情報は自分で積極的に集めることが大切です。
●主治医に相談する以外にも、患者会やがんに関する情報サイトの相談窓口を活用することをお勧めします。私自身、情報収集することで、治療の方向性を決めることができました。
●主治医には、自分の状態をしっかり報告し、希望する治療についても遠慮せずに伝えるとよいと思います。



