真性多血症とは

どんな病気?

  • 真性多血症しんせいたけつしょう(Polycythemia vera:PVピーブイとも呼ばれます)は、血液を造り出す細胞である「造血幹細胞ぞうけつかんさいぼう」にJAK2ジャックツーと呼ばれる遺伝子の変異が生じることにより、血液に含まれる細胞(主に赤血球)が異常に増えてしまう病気です
  • ●血液中の細胞が増えることで血液が濃くなり、血液の流れが悪くなるため、頭痛やめまい、顔が赤くなる(顔面紅潮がんめんこうちょう)などの症状がみられることがあります。また、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症が起こる危険性が高まるため、これらを予防する治療が必要となります。
  • ●真性多血症は、ゆっくり進行する慢性の病気です。すぐに命にかかわる病気ではありませんが、長い経過の後に、急性白血病や骨髄線維症こつずいせんいしょうといった別の病気に移行することもあり、定期的に診察を受け、治療を行っていく必要があります。

真性多血症は、
日本では年間で10万人あたり2人程度に
発症するとの報告があります。
50~60歳代で診断されることが多く、
男性にやや多くみられます1)

1) 小松則夫. 日本内科学会雑誌. 2007; 96(7)
:1382-1389.

血液細胞が造られるしくみ

  • ●血液には、液体である「血漿けっしょう」と、赤血球、白血球、血小板からなる「血液細胞」が含まれています。
  • ●血液細胞は全て、骨の中にある「骨髄」という組織において、造血幹細胞が分裂することにより造られます。このことを造血ぞうけつといいます。

正常の場合

正常な造血においては、これらの血液細胞の数は一定の範囲になるように厳密に調節されています。

真性多血症の原因

  • ●真性多血症では、造血幹細胞レベルでJAK2遺伝子に変異が生じ、それによって血液細胞が異常に増えてしまいます。特に赤血球が増加しますが、白血球や血小板の増加もみられます。

真性多血症の場合

真性多血症の患者さんでは、95%以上に「JAK2」という遺伝子の変異がみられます。このJAK2遺伝子の変異によって、細胞の中で血液細胞を増やす命令が発信され続けてしまうことがわかっています。(真性多血症の診断と検査 参照)